【実は損する辞め方6選】退職後に後悔しないための注意点

この記事を書いた人
長谷川/元・人事部

◆ブラック企業の人事部(現在退職済み)
◆終電退社・サービス残業当たり前
◆パワハラ・モラハラが横行
◆人事部として過去300人以上の退職者を見届けし者

今の仕事を退職する際、いくつかの重要なポイントを押さえておかないと後々損をしてしまうことがあるのをご存知でしょうか。

これを知ってるか知らないかで手取りのお給料や退職後の影響など大きな差が出ます。

今回はそんな「仕事の損する辞め方」について詳しく解説します。

この記事を読むことで、退職時に注意すべき点や避けるべき行動がわかり、安心して次のステップに進むための知識を得ることができるので参考にして頂ければ幸いです。

①内定がない状態で辞める

退職する際には、次の仕事を確保してから行動することが重要となってきます。
内定がない状態で辞めることは多くのリスクを伴うので行く道を確保しておくのが大切です。

内定がない状態で辞めるリスク

内定がない状態で退職することは、多くのリスクを伴います。

まず、経済的な不安

単純に収入が途絶えるため、生活費や家賃、ローンの支払いなど、日常生活に必要な費用をどうやって賄うかという大きな問題に直面します。
このような不安から、精神的なプレッシャーも増しストレスがたまる人が多くいます。

さらに、税金や保険の手続きが煩雑になることも見逃せません。
会社を辞めると、健康保険や年金・住民税などの手続きを自分で行わなければならなくなります。

特に、住民税は翌年に一括で支払う必要があるため、その金額が大きくなることがあります。
これに対応するための準備が整っていないと、思わぬ出費に苦しむことになるかもしれません。

また、転職活動自体もストレスの一因となります。
内定がない状態で転職活動を始めると、なかなか内定が決まらなかったとき大きなストレスが加わります。

焦りや不安から、適切な判断ができずに妥協してしまうことも少なくありません。
実際、転職先が決まらずに長期間無職の状態が続くと、自己評価が下がり、ますます転職活動が難しくなる悪循環に陥ることがあります。

内定がある状態で辞めるメリット

一方、内定がある状態で退職することには多くのメリットがあります。

まず、経済的な安定が確保されるため、収入が途絶える心配がありません。
これにより生活費やローンの支払いに困ることなく、安心して次の新しい仕事に集中することができます。

また、税金や保険の手続きもスムーズに進めることができる点も大きなメリットと言えるでしょう。

新しい職場が決まっていれば、次の職場での手続きがすぐに行えるため、無駄な手間が省けます。
特に住民税の一括支払いを避けるためには、転職先が決まっていることが重要です。

さらに、転職活動のストレスが軽減される点も大きなメリットです。

内定があることで精神的な余裕が生まれ、冷静に判断できるようになります。
その結果、より良い条件の仕事を見つけることができ、自分のキャリアにとってプラスになる選択がしやすくなります。

以上のように、内定がない状態で退職することは多くのリスクを伴います。
一方で、内定がある状態で退職することは経済的な安定や手続きの簡便さ、精神的な余裕をもたらすため、より良い選択と言えるでしょう。
退職を考える際には、次の仕事を確保してから行動することを強くお勧めします。

②退職後の住民税を知らない

退職する際に住民税のことをしっかり理解しておかないと、思わぬ出費に悩まされることになります。
住民税は住んでいる地域に納める大切な税金ですが、その仕組みや退職後の対応について知っている人は少ないかもしれません。

ここでは、退職時に知っておきたい住民税の基本的な仕組みと納付方法について解説します。

住民税の基本的な仕組み

  • 1月1日~5月31日に退職する場合の注意点
    もし1月1日から5月31日の間に退職すると、住民税の支払いに注意が必要です。
    この期間に退職する場合、退職した月の給料から翌年分の住民税を一括で天引きされることがあります。
    つまり、最後の給料がいつもより少なくなる可能性が高いのです。
    これを知らずにいると、突然の収入減に驚いてしまいますよね。
  • 6月1日~12月31日に退職する場合の注意点
    一方で、6月1日から12月31日の間に退職する場合、退職月以降の住民税は自分で支払う「普通徴収」に切り替わります。
    この場合、各自治体から送られてくる納付書で支払いを行うことになります。
    普通徴収は、一括払いではなく分割で支払うことができるので少し余裕をもって生活することができます。

退職時の住民税の納付方法

住民税の納付方法には、普通徴収と特別徴収の二つの方法があります。

普通徴収と特別徴収の違い

特別徴収は、現役の会社員が給与から自動的に引かれる方法で、正社員や契約社員の多くはこれを利用しています。
しかし、退職するとこの特別徴収は適用されなくなり、普通徴収に切り替わります。

普通徴収は、自分で納付書を使って住民税を支払う方法です。
退職後は自治体から届く納付書に従って、指定された期日までに支払いを行う必要があります。

普通徴収のメリットとデメリット

普通徴収にはいくつかのメリットとデメリットがあります。

メリットとしては、支払いを分割で行うことができる点。
一度に大きな金額を支払う必要がないため、経済的な負担が軽減されます。
また、自分のペースで支払いを管理できるので計画的に支出を調整することが可能です。

一方、デメリットとしては支払いの手間が増える点が挙げられます。
特別徴収のように自動的に引かれるわけではないので、支払いを忘れないように注意する必要があります。
また、納付書が届く時期や支払い期限をしっかり把握しておかないと、延滞金が発生することもあるので気をつけましょう。

このように住民税のことを知らずに退職してしまうと、思わぬ出費や手間に困ることになります。
しっかりと準備をして、住民税に関する手続きをスムーズに進めることで、安心して次のステップに進むことができるでしょう。

③離職票をもらわない

離職票をもらわずに退職すると、様々な不利益を被る可能性があります。
離職票は失業保険の申請や転職活動において非常に重要な書類です。

ここでは、離職票の重要性とその入手方法について詳しく解説しますね。

離職票の重要性

離職票は失業保険を受け取るために必要な書類です。
これがないと失業保険の申請ができず、失業期間中の生活費を確保するのが難しくなります。
また、離職票がないと以下のような不利益が生じることがあります。

  • 国民年金の失業特例免除を受けられない:失業中の国民年金の免除を受けるためには、離職票が必要です​。
  • 転職後の育児休業給付金が受け取れない:転職後すぐに妊娠・出産した場合、前職と通算した雇用期間が必要となり、離職票がその証明となります。
  • 転職先での信用問題:離職票には退職理由が記載されており、転職先がこの情報を求めることがあります。離職票がないと、退職理由について疑われることがあるかもしれません。

離職票の入手方法

離職票は退職時に会社から発行されますが、会社が手続きを行わない場合は自分でアクションを起こす必要があります。

以下の手順で申請することができます。

離職票の申請手順

  • 退職した会社に確認:まずは退職した会社に連絡し、離職票の発行を依頼します。手続きが遅れている場合や忘れている場合もあるので、丁寧に確認しましょう。
  • ハローワークでの手続き:会社が対応してくれない場合は、ハローワークに相談します。ハローワークでは会社に対して離職票の発行を促すとともに、必要に応じて仮手続きで失業保険の申請を進めることも可能です。

離職票が必要な手続き

離職票は、失業保険の申請以外にも様々な手続きで必要になります。

  • 失業保険の申請:失業中の生活費を確保するために必須の書類です。
  • 再就職手当の申請:再就職が決まった際に受け取れる手当の申請にも必要。
  • 育児休業給付金の申請:転職後すぐに育児休業を取得する場合に、前職の雇用期間を証明するために使われます。

離職票をもらうことは、退職後の生活を安定させるために非常に重要です。
必ず退職時に会社から離職票を受け取り、必要な手続きをスムーズに進められるようにしましょう。
困った時はハローワークに相談することで、適切な支援を受けることができます。

④退職理由を本音で伝える

退職理由を伝えるときに本音をそのまま話し過ぎるのはあまりお勧めできません。
特にネガティブな理由をそのまま伝えると、思わぬトラブルになることがあります。

退職理由の伝え方

ここでは、退職理由の伝え方とその際のポイントについて紹介します。

ネガティブな退職理由のリスク

ネガティブな理由で退職すること自体は珍しいことではありません。
むしろ90%以上が退職理由がネガティブであるといっても過言ではないくらいです。

しかし、それをそのまま伝えると以下のようなリスクがあります。

  • 会社との関係が悪化する:「上司との関係が悪い」や「職場の雰囲気が嫌い」といった理由をそのまま伝えると、最後の印象が悪くなり今後の人間関係に影響を及ぼす可能性があります。
  • 円満退職が難しくなる:ネガティブな理由を聞いた会社側が不快に感じることがあり、退職手続きをスムーズに進めてもらえなくなることもあります。
  • 転職先への影響:ネガティブな理由が新しい職場に伝わると、採用を見送られることがあります。特に業界が狭い場合は注意が必要です​。

ポジティブな退職理由の例

ネガティブな理由を避けるためには、嘘でもポジティブな理由に言い換えて考えておくことが重要です。

  • キャリアアップを目指すため「新しい分野でのスキルを磨きたい」「より責任のあるポジションに挑戦したい」といった理由は、前向きな印象を与えます。
  • 自己成長のため「新しい環境で自分を試してみたい」「海外での経験を積みたい」など、自分の成長を重視する理由も好印象です。
  • 家庭の事情「家族の介護が必要になった」「子供の教育に専念したい」といった家庭の事情も理解されやすいです。

戦略的な退職理由の伝え方

退職理由を伝える際には、上記のような戦略的な言い換えが重要です。
ここでは、そのテクニックと適切なタイミングについて解説します。

上手な言い換えのテクニック

  • 「上司と合わない」→「新しい環境で挑戦してみたい」:上司との関係が原因で辞める場合でも、自分の成長のために新しい環境を求めていると伝えると、前向きな印象を与えます。
  • 「給与が低い」→「より自分の価値を評価してくれる環境を探したい」:給与面での不満が理由でも、自分のスキルや経験をより評価してくれる職場を探していると伝えることで、ポジティブな印象を与えます​。ただ、これは場合によっては「この会社は自分を評価してくれないから辞める」と捉えられ思わぬトラブルになりかねないので、言い方には十分注意して伝えましょう。

⑤有給をすべて消化しない

退職するときに有給休暇をすべて消化せずに辞めるのは非常にもったいないです。
有給休暇は働く人の正当な権利。しっかりと取得してから退職しましょう。

ここでは、有給休暇の基本情報とその重要性について詳しく説明します。

有給休暇の権利

有給休暇は法律で定められた労働者の権利です。
労働基準法により、雇用されてから6ヶ月間勤務しその間の出勤率が80%以上であれば、有給休暇が付与されます。

例えば、正社員であれば初年度に10日の有給休暇が与えられます。
この日数は勤務年数に応じて増えていき、最大で20日まで増加します。

有給休暇を消化する重要性

有給休暇を消化しないと、単純に損をすることになります。

有給休暇の消化率と損失

例えば退職する際に残っている有給休暇を消化しないと、その分の給与をもらえないことになります。
また、有給休暇を取らずに働き続けると疲労がたまり健康にも悪影響を与える可能性がありますよね。
有給休暇をしっかり取得して、心身ともにリフレッシュすることが大切です。

退職時の有給休暇の取り方

退職時には残っている有給休暇をすべて消化することが望ましいです。
退職日を決める際に、あらかじめ有給休暇をどのように使うか計画を立てておくとスムーズです。

例えば、退職する1ヶ月前から有給休暇を使い始める、あるいは退職日を有給休暇の消化後に設定するなどの方法があります。

また、会社によっては有給休暇を消化せずに退職する場合、未消化分の有給休暇を買い取ってくれるところもあります。
この場合、退職金にプラスされる形で有給休暇の対価を受け取ることができます。

⑥退職後にもらえるお金を知らない

退職後にもらえるお金が意外と多いことを知っていますか?
これを知らずにいると本来もらえるお金を受け取れず損をしてしまうこともあります。

ここでは、退職後に受け取れる給付金の種類とその申請方法について詳しく解説します。

退職後に受け取れる給付金の種類

失業保険

失業保険は、退職後の生活費を補うために受け取れる最も基本的な給付金です。
ハローワークに登録し、積極的に再就職活動を行っていることを証明することで、失業保険が支給されます。
受給期間は退職理由や勤務年数によって異なりますが、一般的には90日~330日までとなっています。

再就職手当

再就職手当は、失業保険を受給中に再就職が決まった場合に支給される手当です。
早期に再就職が決まると、失業保険の残り日数に応じて手当が支給されます。
これは再就職の促進を目的とした給付金です。

専門実績教育訓練等給付金

専門実績教育訓練等給付金は、専門学校や職業訓練校での学習を支援するための給付金です。
指定された教育訓練コースを受講し、修了した場合に支給されます。
この給付金を利用して新たなスキルを身につけることができるので取得したいスキルがあればこの機会にチャレンジしてみるのが良いでしょう。

一般教育訓練給付金

一般教育訓練給付金は、働きながら学ぶための支援金です。
働きながらスキルアップを目指す人のために、一定の条件を満たした教育訓練コースを受講した場合に支給されます。​

傷病手当金

傷病手当金は、退職後に病気やけがで働けなくなった場合に支給される手当です。
健康保険に加入している間に発生した病気やけがが原因で働けない場合に、健康保険から給付されます。

特例一時金

特例一時金は、特定の条件を満たした場合に支給される一時的な給付金です。
例えば、特定の地域や業種での退職者に対して支給されることがあります。

広域求職活動費

広域求職活動費は、広範囲にわたる求職活動を行うための交通費や宿泊費を支援するための給付金です。遠方での面接や説明会に参加する際に利用できます​。

移転費

移転費は、転職に伴う引越し費用を支援する給付金です。
新しい職場が遠方にある場合に、引越し費用を一部補助してくれます。

それぞれ給付金の詳しい受け取り方は以下の記事に記載しています。

まとめ

退職後にもらえるお金を知らないと、せっかくの権利を無駄にしてしまいます。
失業保険や再就職手当などの給付金をうまく活用することで、退職後の生活を安定させることができます。

必要な手続きや書類をしっかりと確認し、スケジュール管理を行い、損をしない退職準備を心がけましょう。
困ったときはハローワークに相談することで、適切なアドバイスを受けることができますよ。